競馬の祭典「ドバイ・ワールドカップ」

【第1回】競馬インフォグラフィックス   2015/3/25


日本では賭け事としてのイメージが強い競馬だが、その歴史は古く、15世紀イギリスが紀元とされている。イギリスなどヨーロッパでは、競馬は上流階級の人がたしなむ高貴なスポーツとされ、現在も多くの人に楽しまれている。本企画では、賭け事だけにとどまらない「競馬」の魅力を、競馬をあまり知らない人たちに伝えるべく、インフォグラフィックを用いて解説をしていく。第1回目は、世界各国の名馬が参戦する競馬の祭典「ドバイ・ワールドカップ」について解説する。



ドバイ・ワールドカップとは?


アラブ首長国連邦を構成する首長国の1つであるドバイで毎年3月末に開催される世界最高峰の競馬レースの名称である。ドバイといえば、中東における貿易・商業の中心地として、近年大きな経済成長を遂げ、現在では高級リゾート地としても人気を集める世界都市である。ドバイ・ワールドカップは、ドバイ首長国の現首長、またアラブ首長国連邦(UAE)の副大統領と首相も兼任しているシェイク・モハメド氏が創設、1996年に第1回競走が施行された。現在ではドバイ・ワールドカップが開催される日は、「ドバイ・ワールドカップデー」(別名「ドバイ・ミーティング」)と呼ばれ、他にも「ドバイ・デューティーフリー」、「ドバイ・シーマクラシック」など複数の国際招待レースが開催され、世界中から数多くのトップホースが参戦する。テニスでいえば“ATPツアーファイナル”に当たるだろうか。とにかく世界中の競馬関係者にとっては、超ビッグイベントなのである。



賞金総額世界No.1


ドバイ・ワールドカップが世界最高峰と言われる理由の一つとして、レースの賞金額の高さが挙げられる。2014年の賞金総額は1,000万ドルで、同じく世界最高峰のレースとして知られる「凱旋門賞」を圧倒的に上回る。(2015年2月為替レートで換算)

Source:the International Federation of Horseracing Authorities

http://www.horseracingintfed.com/


“競馬の祭典”と言われる所以は、レースの賞金だけではない。競馬場、人、演出、どれをとっても全てが“超豪華“なのだ。ドバイ・ワールドカップが行われる「メイダン競馬場」の周りにはホテル・ショッピングモール・映画館などが隣接されており、複合商業施設の中核として競馬場が位置づけられている。中でもメイダンホテルは世界初の競馬場に面した5つ星ホテルだ。ここでは詳しくは割愛するが、朝から優雅に朝食を取り、広いラウンジで一日中競馬を観戦、夜になると花火が上がり、レース後にはライヴ(2014年はジェニファー・ロペス)を楽しむことができる”体験”はこの上ない贅沢だろう。もちろん、ドレスコードも一部存在し、多くの女性がドレスを身にまとい華やかなハットを被っている。男性もスーツでバッチリと決めてくる。当日はなんとイベントとしてベストドレッサー賞が設けられているのだ。日本の競馬場とは雰囲気が違うことが容易に想像できると思う。



ドバイ・ワールドカップの仕掛け人


なぜ、これほどまでに贅沢なレースが中東ドバイで行われるのか。そもそも、ドバイはイスラム教信仰の国のため、”ギャンブル禁止”の国だ。だから競馬開催はされるが、馬券は販売されない。それにも関わらず、競馬が重要なものとして扱われているのはドバイ首長国の現首長、またアラブ首長国連邦(UAE)の副大統領と首相も兼任しているシェイク・モハメド氏の力が大きい。何を隠そう、彼は大の馬好きなのだ。競馬クラブ「ゴドルフィン」を設立し、自身も世界的馬主として数多くの馬を所有して世界中のレースに出走させている。スーパー大金持ちの彼は、競馬が好きで、自分のお金でレースを開催しているのだ。(ちなみに、ドバイ国際空港やエミレーツ航空も彼の構想によるものだ。)実際にドバイ・ワールドカップで1着になると、600万ドル(日本円にして約7億円(2015年3月時点))も獲得できることに加え、驚くことに出走馬、関係者の渡航費から滞在費までシェイク・モハメド氏持ちとなるため、毎年世界中からトップホースが集まっている。

そういった不思議な背景もあり、ドバイ・ワールドカップはギャンブルとしてではなく、純粋なスポーツとしての競馬を楽しむことができる最高の競馬場と言えるかもしれない。昨年は、日本からジャスタウェイ、ジェンティルドンナらが参戦し、見事優勝した。(それぞれドバイ・デューティーフリー、ドバイ・シーマクラシック)ジャスタウェイはこのレースを圧勝したことが評価され、世界No.1ホースとしての称号を得た。

今年も日本からは、昨年のジャパンカップを優勝したエピファネイア、桜花賞馬ハープスター、ダート王者ホッコータルマエなどがドバイに参戦予定。


ドバイ・ワールドカップをきっかけに、今年は競馬をエンターテインメントの視点から観てみるのも面白いかもしれない。

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